●山田区長の妄言に抗議します!
―官主導の「デマ」が引き金になって起きた1923年関東大震災時の朝鮮人虐殺を想起し、再び繰り返さないために「もくれんの家」は声をあげます―

3月19日の申し入れ
さる2月2日「がんばれ日本!全国行動委員会」結成大会(代表・田母神(たもがみ)俊雄。於 : 日比谷公会堂)で山田宏・杉並区長は、2005年の扶桑(ふそう)社の教科書採択の過程について、事実と全く異なる発言をしました。「最もひどい反対をしたのが在日の韓国人の団体」「異常な数の人たちが動員され」「区長室の前に陣取ってシュプレヒコールをし」、外国人なのに口をはさみ、「だから区長室入室お断りとした」と語り、外国人に地方参政権を付与するべきでないという持論を展開したのです(詳細は別紙「申し入れ書」(←クリックすると開きます)参照)。
戦争を賛美し歴史を改ざんする扶桑社の教科書採択にあたっては、もくれんの家のメンバーも断固反対の立場をとり、採択阻止に向けて行動していました。採択当日も現場に居合わせました。反対運動をした韓国人もいましたが、多くの日本人もいたのです。
区長の発言は事実をねつ造したものであり、今、各地で在日朝鮮・韓国人に対して過激な嫌がらせや脅迫を繰り返している「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の動きとの連動を想像させるものです。民族差別による悪意に満ちた妄言と言わざるを得ません。
「もくれんの家」は草の根の国際交流をめざして、これまで中国や朝鮮・韓国の人々と語り合い、互いの理解を深めてきました。私たちは「朝鮮人が襲ってくる」というデマが流され、多くの朝鮮人が虐殺された関東大震災を知っています。その数少ない生存する目撃者である「もくれんの家」の代表・八木ヶ谷妙子の証言を胸に刻み活動を続けています。
今回の区長発言は許すことができません。「もくれんの家」は区長発言の謝罪と撤回を求めて申し入れをおこないました。以下は経過報告です。@2月26日、区長面会を求めたがかなわず、対応した区長室秘書係長に申し入れを読み上げ、手渡し、「回答」を確約する書面に署名してもらう。A3月19日は区長室長対応となる。彼は「この件については議会で答弁している」「発言に間違いはない」との区長の言葉を繰り返すのみ。再度、区長面会を求める。同日区長室長より、区長の言「特段申し上げることがないので、お会いできません」を伝えるメールが着信。
区長は2月16日の定例会の一般質問の回答として「集会での発言は概(おおむ)ね事実と認識している」「在日団体の行動についても概ね事実…、発言を訂正する考えはない」「在特会の迫害行動については詳しく知らないので見解を述べる立場にない」と発言していました。
「もくれんの家」は現在、今後の対応を協議中です。小さな発言に見えるかもしれない「悪意の芽」は、やがて大きな差別・排外主義のうねりになって私たちの社会を脅(おびや)かします。「もくれんの家」は、今後も歴史に学び、隣人と語りあい「共に生きる」ことをめざして活動していきます。
(角取(かとり))
●ニイハオ+アンニョン・パーティの報告
2月は「福祉・社会保障を学びたい」という希望に応え長谷川英憲(ひでのり)さん(元杉並区議・元東京都議)にお話していただきました。長谷川さんは、民営化が福祉の面で本格化した2000年に「介護保険制度反対! 必要な人に必要な介護を!」と高齢者の運動をはじめた「介護と福祉を要求する杉並住民の会」の事務局長です。
「福祉とは?」と考える切り口として、昨年3月に起きた「たまゆら」事件(無届けの高齢者施設の火災で高齢者10人が死亡)を取り上げました。「この事件について『若い時に、ちゃんとしたんなら、あんな施設に入らなくても済んだのに』というような意見を言う人がいるけれども、どう反論したらいいの?」という設問がきっかけでした。この意見は結局は「福祉は自己責任でやるべきだ」というところに行き着きます。「自分にお金がないなら貧弱な安い施設にいくのは仕方がない」などなど、いろいろな言い方で、特に「新自由主義」といわれる風潮の中で強調されている考え方です。「人は平等ではない、格差はあって当然」「弱者は競争で陶太(とうた)されてもいい」「市場競争で勝ったものが正義」というものです。
この事件は介護・福祉がどんどん切りすてられて、国や自治体などが責任を持たなくなってしまったことが最大の問題です。たとえば特別養護老人ホームの待機者は杉並区でも1800人もいます。この人たちの受け入れ先として民間の劣悪な施設がどんどん作られました。防災防火体制、夜間の人の体制などほとんどないに等しい状態で運営されている。本来人間社会が備(そな)えているべき当たり前のことが、ないがしろにされている。これが根本的な問題です。
1980年代、日本では中曽根首相の時の国鉄分割・民営化以来、「今までやっていた国や自治体の仕事を民間企業にやらせろ(もうけ仕事にさせろ)」という攻撃が日本だけでなく世界中に広がりました。新自由主義といわれる攻撃です。民営化はとくに、社会保障福祉の分野で猛威をふるいました。「たまゆら」はそのあらわれのひとつです。だから、この事件で「殺された人に問題がある。責任がある」ということは新自由主義のやり方を「良し」とすることになってしまうのではないでしょうか。
ここで福祉や社会保障を考えるときに最低おさえておきたいことは「人間の社会は健康な人だけで成り立っているわけではないこと。保護と養育を必要とする乳幼児や子ども、妊産婦、高齢者、病者、障がい者など、さまざまな理由で働けない、社会が生活を保障しなければならない人々を含めて成り立っている」ということです。このような考え方が確立するには長い闘いが必要でした。世界的にみれば、1917年のロシア革命の過程で確立されのです。日本国憲法25条【生存権、国の生存権保障義務】で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」「これは国の義務」と示したのは、1945年8月の日本の敗戦、戦後の「あわや革命か」というたたかいの高揚の中で、革命をおそれた日本の支配階級と米占領軍が譲歩したからです。つまり、社会保障、福祉はそういう激しいたたかいによってのみ、権利として勝ち取られるのだ、ということはしっかりとおさえておきたいことです。
いま大恐慌で、労働者も生きられない、高齢者も生きられない時代になってきて、「生きるためのたたかい」は待ったなしです。自民党から民主党政権に変わっても結局、国は一層の民営化によって危機を労働者民衆に押しつけようとしています。
最近、住民の会の集まりで、国鉄分割・民営化に敢然とストライキでたたかい団結を守り抜いている動労千葉という労働組合が「福祉も医療も教育も金儲(もう)けの対象にされ、JRは『安全は儲からない』と鉄道保守部門を外注化しようとしている。この現実を『しかたないもの』としてみるのではなく、変革のために、社会保障制度解体攻撃に対して労働組合がその先頭にたって闘う。明日からストライキでたたかいます」と言っているのを聞いて、こういう労働者・労働組合と手を組んでたたかっていこうと話し合いました。
(長谷川)
●わたしの国際交流A

全泰壹(チョンテイル)烈士のお母さんの 李小仙(イソソン)さんが発言
前号に書いた「烈士の精神受け継ぎ!!」とは全泰壹(チョンテイル)のことである。
今回(2009年11月6〜8日。韓国で行われた韓国民主労総全国大会)、趙英来著『全泰壹評伝』を読んで参加した。
1970年11月13日、ソウル平和市場で「われわれは機械ではない」「労働基準法を遵守(じゅんしゅ)しろ」と叫んで全泰壹は22歳の若さで焼身自殺した。ガム売り、新聞売り、靴磨きなどで家族を養い、少年時代を生き抜いてきた彼はミシン工の仕事を得、日当コーヒー一杯分で平和市場の、立つこともできない位狭く、一日中光のない騒音の中で働く。しかし自分以下の女工の悲惨さを目の当たりにし、少しでも良くしたいと裁断師補助になる。賃金は半分以下になった。職場の改善、勉強して、女工を助けるため「絶対的な権力を持つ」裁断師になった。しかし、待っていたものは長時間労働、3人分を一人でする強労働だった。そして解雇。労働基準法を「発見!」。それからは死ぬまで、徹底的に、組織化と闘い方を考え、実行した。命をかけた労働運動、夢見た搾取と抑圧のない社会。挫折しながらも、確信したのは、労働者が後に続くことだった。仲間と行動し、文字通り命をかけた。3日後、遺体を大学生百人が引き取り、葬儀。宗教者が続く。特に若い労働者が立ちあがり、続く……。
今、全世界で、ゼネストが続く。非正規職労働者が大半を占め、正規職も長時間労働を強制され、賃下げも。怒りがあるのに、怒りも出せない。これは労働組合と労働者の問題である。搾取と抑圧、戦争のない社会をめざす。曖昧(あいまい)さではなく、ひとつになるため現実に立ち向かい、必死に自分の職場から作っていく。未来とつながっていく。自分の職場から、始まる。
私にとって、毎日、毎日の結果が11月の二つの日韓集会であり、アメリカの教育労働者との連帯・交流だと思う。
(伊藤)
●「入管収容所」の闇に光を B
スリランカ、イラン、パキスタン、ビルマ、トルコ国籍クルド人、バングラデシュ、ネパール、インド、ベトナム、ナイジェリア、カメルーン、アンゴラ等のアフリカ諸国、コソボなどなど……、昨年、牛久(うしく)(茨城県)や品川の入管収容所に収容されていた難民申請者の出身地です。
1980年代以降、世界を覆(おお)った新自由主義のもとで発生した絶望的な格差、資源争奪がもたらした国際紛争・内戦が世界中に大量の難民、移民を生み出しています。2009年、日本での難民申請者は前年に続き、過去2番目に多い1388人に上り、そのうち難民認定されたのはわずか30人にすぎません。「こんな現実は絶対に許せない! 団結の力で打ち破ろう!」と在日・滞日外国人とともに作りあげる集会があります。ぜひご参加ください。
(荒川)
「外登法・入管法と民族差別を撃つ全国研究交流集会」
●5月9日(日)午後1時開会/横浜市・鶴見公会堂(JR鶴見駅前)
●主催・実行委員会
●関東大震災における朝鮮人虐殺の真相究明と名誉回復を求める日韓在日市民の会
(「1923の会」)の報告
この3月の国連人権理事会への働きかけは、議題として取り上げられなかったため実現しませんでしたが、今年は韓国併合100年を迎える節目の年、具体的な国家責任追求の具体的な行動をめざして「関東大震災の虐殺・真相究明を求める実行委員会(仮)」準備会を下記のように開催することになりました。国会議員への請願のあり方や、働きかけ等について議論を深めます。
●日時:4月24日(土)13時30分〜
●会場:東京・生活者ネットワーク4階
(新宿区歌舞伎町2-19-13 ASKビル)
●会場費 500円
また、中学生から大人までを対象にした「副読本」「ガイドブック」のようなものを制作予定。広く関東大震災朝鮮人虐殺の事実を伝えていきたいと考えています。公立中学でこの問題を正面から取り組んで自作の教材で社会科授業を実践している先生も会のメンバーとなり、活動をともにすることになりました。
【問い合わせ 角取(かとり)まで】
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